例会情報

第1420回(23年度44回) 令和6年6月12日 / うらべ走馬様の大阪府政についてのスピーチ 他

日時:令和6年6月12日(水) 18:30~19:30

場所:割烹 片桐

会員数:27名

出席率:96.3%

 

森会長のスピーチ

先週、ChatGPTを使ってみました。この1年間のニュースや新聞では、「AIを支える半導体」という言葉が頻繁に登場します。今回は、その半導体について、ニュース記事を引用しながら分かりやすく紹介したいと思います。

半導体とは何かを一言で言うと、「スイッチのようなもの」です。物質は、金や鉄のように電気を通す「導体」と、ガラスやゴムのように電気を通さない「絶縁体」に分けられます。その中間に位置するのが半導体です。ある条件が整えば電気を通し、条件が整わなければ電気を通さないという特性を持ちます。この特性を利用して、Aのスイッチを入れると「あ」、Bのスイッチを入れると「い」、Cのスイッチを入れると「う」といった情報を処理することができます。多くの半導体スイッチを備えることで、多量の情報を処理できるようになります。

例えば、皆さんが持っているスマートフォンには、190億個もの半導体が使われています。数が多ければ多いほど情報処理量が増えるため、AIの進化のためには半導体をいかに小型化するかが競われています。

日本は1988年に世界の半導体市場で50.3%のシェアを持っていましたが、2019年には10%にまで落ち込みました。総務省のホームページによると、将来はシェアがゼロになるのではないかと危惧されています。この状況を打開するため、官民一体となって設立されたのが「ラピダス」という会社です。トヨタ、NTT、ソニーなど国内大手8社が73億円を出資し、2022年11月に設立されました。2ナノメートルの回路線幅の半導体を目指していますが、工場建設には5兆円もの資金が必要とされています。政府は9200億円の補助金を決定していますが、その他の資金集めは進んでいません。金融機関も慎重な姿勢を見せており、政府は銀行融資に対して政府保証をつけるという異例の対応に踏み出しています。必要額5兆円に対して、政府の補助金があるとはいえ出資額73億円というのは心もとない状況です。

半導体で最近注目を集めているのはエヌビディアです。株式時価総額がアップルを上回り、3兆ドル(450兆円)を突破しました。日本最大の株式時価総額を持つトヨタが60兆円ですから、その規模の大きさがわかります。マイクロソフトを追い越して1位になるのも時間の問題と言われています。四半期ごとの決算発表も毎回大盛況で、売上は1年間で3.7倍に成長、四半期の売上は約3.3兆円、粗利益率は76%です。株価を利益で割ったPERも非常に低く、割安とすらささやかれています。

エヌビディアは半導体の製造をしておらず、設計した半導体の製造は台湾のTSMCが請け負っています。熊本県菊陽町では、TSMCの工場が2月24日に開所されました。投資額1兆2000億円のうち、5000億円を国が補助しています。第二工場の計画も進んでおり、国は7000億円の補助を表明しています。熊本の高揚感を感じたくなり、私は3月の春休みに中学生の息子と二人で訪れました。TSMC株を事前に買い、「株主だから工場を見せて」と頼んでみましたが、残念ながら門前払いで中には入れませんでした。それでも、街中は賑わいを見せており、田舎町の交差点では大渋滞が発生していました。

九州全体が活気に満ちています。日本の貿易収支は9兆円の赤字ですが、九州だけで見ると5000億円の黒字です。九州が元気であることがうかがえます。

元気な地域や企業の姿勢や報道には、生き残るためのエネルギーを感じます。元気な場所を知り、そこに情報や物理的に近づくだけでも、元気をもらえるように思います。今回は、元気な企業や地域について紹介しました。

うらべ走馬様の大阪府政についてのスピーチ

いよいよ来年、2025年には大阪・関西万博の開幕が迫っています。大阪府はこの万博を【成長への布石・未来への投資】と位置づけ、万博後の大阪に【成長と発展】を目指しています。

本年度の大阪府は、一般会計予算として3兆1972億円を計上し、【2025年日本国際博覧会に向けた開催準備】【万博をインパクトにした大阪の成長・都市格の向上】【安心・安全で豊かな暮らし】の3本柱を掲げた政策を打ち出しています。

この3本柱の主な内容は以下の通りです:

1. 【2025年日本国際博覧会に向けた開催準備】

  • 万博会場の建設
  • 交通手段の確保
  • 子どもたちへの招待

2. 【万博をインパクトにした大阪の成長・都市格の向上】

  • 茨木市の彩都や吹田市の健都、中之島Orossを中心としたライフサイエンス分野のスタートアップ企業への支援
  • 空飛ぶ車の実用化
  • 大阪府の高校無償化
  • 観光ビジネスコンテンツの構築
  • うめきた2期や新大阪駅周辺整備
  • 大阪モノレールの延伸、北大阪急行延伸、なにわ筋線の整備

3. 【安心・安全で豊かな暮らし】

  • 地震津波対策
  • 消防の広域化
  • 物価高騰の影響を受ける府民への支援
  • 感染症対策の強化
  • 医療体制の充実
  • スマートモビリティーの推進
  • 不登校児童への支援

万博に対しては賛否両論がありますが、万博を通じて新たな技術開発が進み、テーマである「いのち輝く未来社会」の実現が目指されています。まだ多くの課題が残っていますが、それらについても議論を進めていきたいと考えています。

質疑応答:

マスコミではネガティブな報道も多いですが?

さまざまな意見がありますが、『未来を示す万博』はライフサイエンスや高齢化社会への対策、最新の医療技術(再生医療など)を示すことで技術革新につながるのが過去の万博の意義でもあります。これが大阪府の成長にもつながると考えています。多額の予算を使うため、反対意見や縮小を求める声もありますが、まずはやってみて、その投資がどのような結果をもたらすかを検証することに意義があると考えています。