例会情報

第1407回(23年度31回) 令和6年2月28日

日時:令和6年2月21日(水) 18:30~19:30

場所:割烹 片桐

会員数:27名

出席率:77.78%

 

会長挨拶

2月24日でロシアがウクライナに侵攻してから2年が経過しました。昨年の講演会以降、ジレンマを感じつつも関心は持ち続けています。

今月、あるウクライナ人が大阪に来日されています。ボグダン パルホメンコさん37歳、ウクライナ生まれの方ですが、4歳~15歳までを神戸・大阪で過ごして、日本語・大阪弁がペラペラ、お好み焼き、たこ焼きが故郷の味です。現在キーウに在住、ご自身でユーチューブチャンネルで現状を伝えて、日本からの支援物資を各方面に精力的に届けています。ボランティア活動中には命の危険と常に隣あわせ、仲間の命を失うことも経験されています。本来、ウクライナ人男性は国外に移動できないのですが、2年間の功績を政府から認められて、一時的に日本に来られています。関西テレビに出演されていた様子がユーチューブで公開されていました。

笑顔で楽しそうに大阪をめぐる好青年ですが、「こうしたバカ話ってウクライナではできないんですよ。こういうバカ話ができることがどれだけ幸せな事か」というコメントが印象的でした。現在、戦況は膠着状態が続いていますが、一部劣勢の報道もされています。先日は2014年にロシアがクリミア半島を無理やりに併合して以降、ウクライナ側が奪還した都市アウディーイウカが再びロシアに奪われるという報道がされました。ウクライナ側もこのことは認めています。一歩引かざるをえないのは支援が細っていることが原因の一つとされています。昨年の11月頃にアメリカの支援予算が底を尽き、新たな予算を通そうとしても、上院は通るものの下院での反対があり、新たな予算が通る見通しは立ちません。

このような状況の中でウクライナの人たちの姿勢や意識にも変化があるようです。侵攻開始前とその後を比べてみると、学生になる男性の数が増えています。学生は徴兵の対象から外れることから、学生になることで徴兵を回避している動きが背景にあるようです。

また、領土をすべて奪還するまで戦争は終わらないとしてきた国民の姿勢も、少しずつ変化があり、領土を諦めても良いとする意見が少しずつ増えています。ボグダンさん によると、この数字は男性、女性を合わせた数字で、対象を、兵役を課せられる可能性のある男性だけに絞るとより諦める数字は増えるのではないかというコメントも発しておられました。

国内の様子も戦地とそうでない場所でだいぶ温度感があるようです。西部の町リビウは多くのウクライナ人が避難している街ですが、戦後の復興を見越して活況に沸いています。リビウの町の空き部屋賃料はすでに2割ほど高騰。ホテル従業員によると「ここ20年ほどでこの町がこんなに活況になったことはない」というコメントを残しています。

まだ、戦争が続いている国で復興を議論するのは、下手をすると復興したものがロシアに奪われる可能性がある中、複雑なものがありますが、日本政府も農業、インフラ部門を中心に復興への協力体制を築き始めています。講演会から約1年ばかり、変わらない状況と変わった状況がありますが、疲れは蓄積している印象です。昨年の30周年記念式典ではバルタンさんもビデオレターを送ってくれましたが、お顔が疲れ気味でしたのでそのことを聞くと「疲れています」とメールで返信してきました。また日本にも来たいとお便りくださっています。その時はできるだけ疲れを癒してもらえたらなと思います。