日時:令和6年1月31日(水) 18:30~19:30
場所:割烹 片桐
会員数:27名
出席率:77.78%
ゲスト 岡田ひろ子様によるスピーチ
ゲストとしてお越しの岡田ひろ子様に、「新しい自分探しの旅~日本画に挑戦」というテーマでスピーチいただきました。
題『日本画について』を決めた時、京都芸術大通信学部で3年間学んだどの部分にスポットを当てるか悩みました。
日本画の畠中光亨先生の言葉に「絵を描くのに必要なことは哲学とか思想です。思いつきだけではよい絵は描けません。考えるヒントとなり自己表現に密着した材料を学ぶことは意義あることと考えています。」とあり、この言葉から方向性が見えました。「卒業制作に取り組んだ約一年間の足跡」がすべてを総集していると。2年間はデッサンに始まり、色鉛筆による色彩表現、用具用材-様々な画材の基本的な使用法を学び、課題を通して技法を取得していきました。3年生になりいよいよ卒業制作に入ります。
『歴史をつなぐ ちりめん街道』をテーマに、卒業制作スタート! 「ちりめん街道」は屋根のない建築博物館とも呼ばれ、明治・大正・昭和とその時代に建築された重要な建造物がコンパクトに集約され保存されている特殊な地域です。難しい題材ですが、「ちりめん街道」を卒業制作のテーマにしようと心が躍り、歴史の証、人々の息遣いを表現してみたいと決心しました。取材してみると、町の発展に尽力された先人達の心意気が、建物に、道路に、いろんな物に溢れています。住民の生活の場であり、時代とともに少しずつ変化はしていきますが、飲食店やスーパーマーケットは立ち並んでおらず、どこか別世界の空間に入ったようで、丹後ちりめんの息遣いを感じる場所だと再確認をしました。
丹後ちりめんのいしずえや町の雰囲気を表現したいと強く思い、描きどころを探しました。「古い家並みが続いている。」「白壁、土壁、格子戸、屋根瓦、100年以上経った家々は、なんと風情のある素材ではないか?」「どのアングルで描くか?」「どの建物がいいか?」「昔は砂利道だったが、今はアスファルト・・・。」「外灯、電柱が並んでいる・・・。」
何カ所か写生し、自分の思いに一番近いところを決め、草稿作り、骨描きに入りました。遠近、家の重なり等々、ポイントを決めるのが難しく、下絵に時間がすごくかかりました。そして、彩色。ちりめん街道の雰囲気を出すために、どの技法を使えば効果がでるのかすごく悩みました。イメージと表現法をどのようにリンクさせたらいいのかアドバイスをもらいながら、最終的に岩絵具の色で繊細さ、微妙さを表現することにしました。
街並みを思い出し、この土地に根付き育まれてきた丹後ちりめんと人々の思いに心をはせ、静かな場所、ちりめんと共に生きてきた地域住民の生活空間が滲み出る作品に仕上げたいと取り組みました。色彩の一つ一つに繊細さをしたため、時代観を一枚の瓦、一枚の板、一本の柱、窓、戸、格子、道路、木々、電柱から感じられるように表現法を工夫しました。試行錯誤してきた思いが、溢れて出る空気感として表現できることを期待しつつ仕上げた作品です。